ある方の勧めで浅田次郎作による「一路」という小説を読みました。江戸時代末期、美濃の御殿様の参勤交代に、全く経験のない若侍がある事情で御供頭(参勤交代における総指揮官)となり、江戸までの中山道を行軍するという時代小説です。道中、次々と降りかかる難問にお家騒動まで加わり、700ページ近くを一気に読み切るおもしろさでした。
詳細についてはこれからご覧になる方のために触れませんが、現代社会にも通じる多くの真理が語られています。その中の一つが「使命」です。参勤交代には、平穏な江戸時代を治めるための側面もありますが、本来は戦さそのもの。行列に不手際や行程の遅れがあっては、お家お取り潰しは必至という背水の陣で挑む主人公やその主君。そこまでして「使命」を全うするという気概に心を打たれました。
翻って私たちの使命は「ご利用者の自立支援」。遥か江戸時代に思いを馳せながら、その意味をしっかりと胸に刻み、これからの時代を拓いていきたいものです。
社会福祉法人 ふるさと
理事長 北 島 淳 朗