この一年、「生成AI」が私たちの暮らしと福祉の現場に一気に近づいてきました。膨大な知識の検索・整理・創造的発想、言葉の生成も含めて、AIはこれまでになかった速度で可能性を広げています。一方、介護現場にとって本当に大切なのは、それによって“人らしさ”を失わず、「個別ケア」が実現できることです。
先日公表された厚労省の「省力化投資促進プラン」では、ICT・ロボット等を用いた業務効率化とともに、「ケアの質の向上」が重視されています。
AIは、記録作成やケアプラン見直しを自動化するだけでなく、利用者の状態や生活リズムをデータで把握し、“その人らしい暮らし”を支えるヒントを与えてくれます。
たとえば、生成AIが過去のケア記録から「この時間帯に覚醒しやすい」「この動線だと転倒のリスクが高まる」などを提案することで、ケアスタッフは適切な対応を前もって設計できるようになります。こうした技術は、決して人を代替するものではなく、人がより丁寧に、より創造的にケアを提供するための強い味方になるはずです。
私たちは、どのような支援をAIとともに築いていくのか。その答えは、現場での一つひとつの実践のなかにあるのかもしれません。
社会福祉法人 ふるさと
理事長 北 島 淳 朗


















