皇室問題や新総裁選挙の話題で持ちきりのご時世に、ふと「日本らしさの原点」を辿ってみました。遠く飛鳥・奈良時代から儒教や仏教を含めた多くの文化を取り入れてきた日本。しかし、決してすべてが移入文化に染まったわけではありませんでした。仏教が伝来した時、聖徳太子は仏教という普遍的世界観を尊びつつ神仏習合という形で取り込みました。
また、儒教、とりわけ朱子学が統治原理として使われていた江戸時代においては、本居宣長に代表される国学者たちが日本古来の伝統思想を重視する運動を展開しました。宣長は、「古事記」や「源氏物語」といった古典文学の底流に、日本人古来の万物に神が宿るという考え方があったことを読み解き、それを「もののあはれを知る」という思想論として確立させ、大和心の大切さを説いたのです。
人間はもちろん、一草一本に至るまで万物には霊性があり、だからこそつながりあうすべての「もの」と心が通じ合い「もののあはれ」を知りうるとした宣長に、今の“反ワク”や“マスク自警団”で騒がしい日本はどう映るのでしょうか。
社会福祉法人 ふるさと
理事長 北 島 淳 朗
ふるさとだよりvol.179 記事一覧へ